私は、いろいろなことに「こだわり」がある。
まず、色。
今は、渋いオレンジを差し色にして、洋服や小物をいろいろ楽しんでいるが、色には結構厳しい。
今日は黄色の話をしよう。
子どもの頃は、黄色が大好きだった。
野原の色、ひまわりの色、そして、春の太陽の色。
ワンピースやブラウス、セーター、ハンカチ、手袋やぬいぐるみまで、ほぼ黄色だった。
最近は、好きな黄色に、バングラデシュの乾季の農村に特有の光景である、
マスタード(菜の花と同じアブラナ科)の黄色い花畑も加わった。
こだわりがあるということは、融通が利かないので、時には不自由なことになるが、
反面、このこだわりに助けられることもある。
家の近くの市立小学校に入学した頃、学校の帰り道に男子生徒にイジメられたことがある。
「やーい、やーい、東は女なのに、なんで黒いランドセルなんだ? 男なのか?」と、野次られたのである。
石こそ飛んでは来なかったが、イジメられたのには違いない。
確かに、私が小さい頃、女の子は赤いランドセル、男の子は黒いランドセルだった。
国立や私立の学校に通う子どもたちの中には、女子も黒や紺色のランドセルを背負っていたが、
東京の田舎・武蔵野市の市立小学校では、女子の定番は赤だった。
男の子たちにハヤシ立てられて、幼い私の頭にはハテナ印?が一気に浮かんだ。
「黒いランドセル=男子、私=黒いランドセル、私=男の子???」である。
「やーい、やーい」となじられたことにも、少し気持ちが傷ついた。
その場から走って家に帰ったのを覚えている。
帰宅するやいなや、私は母に問うた。
「お母さん、私のランドセルは何で、赤じゃなくて黒なの?」、と。
母は、私の目をまっすぐ見て即、応えた。
母、曰く。「ひろのは、黄色が好きでしょ?」
ひろの「うん。」
母、曰く。「黄色には黒が合うでしょ?」
ひろの「うん。」
母、曰く。「黄色に赤だと、チンドン屋さんみたいよね?」(チンドン屋さんごめんなさい)
ひろの「うん。」
母、曰く。「そうなの、黄色いお洋服に合うように黒いランドセルを選んだのよ。」
ひろの「うん。そう、わかった!」
心の中では、バンザーイ、黒いランドセルの理由がわかった!!!という感じであった。
そう、黄色には黒が合うのだ!!!
男子生徒に勝った気持ちにもなった。
イジメのことは母には言わなかった。だって、もう解決したから。
翌日、小学校の帰り道、同じ場所で、再び数人の男子生徒に囲まれた。
「やーい、やーい、東は、男!!!」
私は言った。「私は男なんかじゃない。ランドセルは黒がいいの。私は黄色が好きだから。」っと、
大きな声で、きっぱり言い返してやった。
それを聞いて、男の子たちは目をパチクリ、クリクリとさせているばかりだった。
何も言い返して来なかった。
そうやって、私は勝った。イジメにも、性的(ジェンダー)差別にも。
黄色へのこだわりが私を救ってくれたのである。
(但し、黄色と黒が好きだからといって、阪神タイガースのファンではないので、あしからず。)
(2)
絶妙なコンビネーションのAZUU親子☆素敵!
ケ〜チャ、コメントありがとう。 ウチの母はスパルタ教育で厳しかったけど、我が道を行くという信念をもっていろいろトライする場合は、子どもに理解があったし、優しかった。小学校1年でも複雑な心境を生きていたことを、改めて思い出しました。